鷺舞は津和野の弥栄神社に伝わる古典芸能神事です。毎年祇園祭りの7月20日(ご神幸の日)は町内11ヶ所、27日(ご還幸の日)は町内9ヶ所の昔から定められた場所で舞います。
鷺舞は天文11年(1542)に時の津和野城主吉見正頼(11代)が山口の祇園会から移し入れた芸能神事ですが、本元は京都の八坂神社祇園会に伝えられたもので、京都から山口へ、山口から津和野へと伝えられました。
坂崎出羽守の時代に一時中絶しましたが、亀井氏の時代になって茲政(2代藩主)は、寛永20年(1643年)坂田兵左衛門、柴屋彦両人を京都に派して京都祇園会の鷺舞を直接習得させ、今日まで受継がれています。
当屋制の事、鷺舞屋敷の事、諸々の儀式、ならわし等は時代の変遷に伴い省略されて記録に残るのみですが、鷺舞そのものは正しくうけ継がれ大事に保存されて「日本に只1つ残る鷺舞」と云われています。貴重な無形文化の遺産として学術的にも高く評価されています。
昭和30年には京都の八坂神社が鷺舞の復活を企画し、逆に津和野の鷺舞を習得に来ています。
昭和5年11月、明治神宮の鎮座十年記念祭典に全国から選ばれた7種の芸能神事の中に加えられて奉納しました。
昭和43年4月、神戸生田神社の明治百年記念特別祭典に招聘され、祭典儀式に組み込まれて奉納しました。万国博覧会の会場では鷺舞の映画が3ヶ所で上映されています。
令和4年11月30日、日本に伝承されている41件の民俗芸能「風流踊」がユネスコ無形文化遺産に登録されることが決定しの民俗芸能に、津和野を代表する伝統神事でもあるこの「津和野弥栄神社鷺舞神事」も含まれています。